今回は私が総研大宇宙科学専攻を受験する際に行った大学院入試対策とその勉強法について解説します。
私は、社会人で受験をしたので入試で使う学力がすっかり抜け落ちていたことと対策時間が少なかったことから、できるだけ効率よく点数を取ることだけに専念していました。
本来であれば、公式の導出方法や物理現象の詳細理解をしておくことがベストですが、準備期間が5ヶ月(仕事をしながら)であったため、いかに最低合格点を超えるかだけを考えて対策しました。
入試対策スケジュール
私が大学院入試対策を開始したのは、3月中旬からでした。試験日が8月中旬だったので、試験準備期間は約5ヶ月でした。この期間、私が行った入試対策スケジュールは以下の通り。
正直対策開始はかなり遅かったなと思っていて、1,2月からは準備をした方がいいと思います。筆記対策はそれほど急がなくてもいいですが、研究室の情報収集や教授へのコンタクトは早めにとっておいた方がいいと思います。(もう行きたい研究室が完全に決まっていてここ以外あり得ないと言う場合は問題ないですが、意外と調査していくうちに意思が変わったり、自分がどのような研究をしたいかがより明確になってくるので、早め早めに動いた方がいいです。)
図では「研究室訪問」のところが点線になっていますが、これはコロナの影響で直接訪問ができなかったため、オンラインで複数の先生と面談をしたことを意味しています。
あと、例年5月に大学院説明会が開催されているので、この日までにある程度行きたい研究室を決めておいて、先生や学生の話を聞いておくといいと思います。何も準備せずに説明会だけ行っても、何を質問すればいいのかわからなかったり、どの研究室に行くのか迷うことになります。自分の軸を持っておくという意味でじっくり研究室の下調べをしておきたいですね。
筆記試験に向けた具体的な勉強法については、下で詳しく書くとして筆記対策に使った時間ですが、私は社会人ということもあり平日は時間をあまり割けなかったので2時間程度、その代わり休日は1日8~10時間は勉強しました。(下のグラフが月別の勉強時間を表しています。色の内訳は勉強のカテゴリになっていますが、あまり注意して区別していなかったので参考になりません。笑)
こう見ると6,7月勉強していないように見えますが、この期間に行っていた「志望理由書・面接発表資料作成」の作業は勉強時間にカウントしていないので、実作業としてはまあまあやってる方だと思います。(志望理由書・面接発表資料作成は侮らないことです。詳しくはこちらを参考にしてください。)
使用した参考書・問題集
総研大宇宙科学専攻の大学院入試対策として、以下の参考書と問題集を使用しました。
マセマシリーズ~参考書編~
点数を手っ取り早く取りたいなら、やはり「マセマ」だと思います。
基本的に総研大宇宙科学専攻の問題は基本問題が多い(特に数学)ので、マセマの教科書を反復することで5割くらいは取れるようになると思います。
マセマの教科書は従来の堅苦しい参考書のイメージとは異なり、理解のしやすさに重点をおいた書き方をしているので、受験数学、受験物理を完全に忘れていた私でも簡単に1冊仕上げることができました。
マセマ シリーズで総研大受験に必要な分野は以下の5つです。
・常微分方程式
・線形代数
・力学
・電磁気学
(※入試では一部偏微分方程式も出てきますが、出てくるパターンが決まっているので、わざわざ参考書をかってまで対策する必要はないかと思います。過去問に出てくる問題が解ければ問題ないと思います。)
ただ、もう基礎はばっちりで応用に時間をかけたい人や東大、京大、東工大などとの併願を狙っている人にとっては物足りないかもしれません。
マセマシリーズ~演習編~
大学の期末試験や大学院入試に出やすそうな基礎問題を集めた問題集です。私はこれを20回は反復しました。(と言っても実際に書くのではなく、問題をみて解答が浮かぶかをチェックするだけですが…)
総研大の数学では、毎年微分・積分、常微分方程式に関する点取り問題が出ます。正直ここで間違えると結構痛いですが、私の時はほとんどこのマセマ シリーズ(演習編)から出てきたのでかなりラッキーでした笑
また、物理の問題パターンの暗記にもかなり役立ちました。
総研大の物理は数学ほど傾向があるわけではなく、力学、電磁気の幅広い問題パターンが出てきます。なので、この演習書で基礎問題の解法パターンを1分以内に閃くようにしておいて、その他の応用問題は必死に考えて少しでも点を稼ぐという作戦を取りました。
演習大学院入試問題
ど定番ですが、「演習大学院入試問題」は役に立ちます。
東大、京大、東工大の問題が多めですが、これらの問題をしっかり理解して解けるようになっていれば、総研大の問題は余裕です。
私の場合は対策時間も少なかったので、総研大の過去問と「演習大学院入試問題」を照らし合わせて、出そうなところだけを穴が開くほど反復しました。(穴は空いてません笑。でも20回は復習しました。)
「演習大学院入試問題」には数学Ⅱも存在しますが、この中で扱われている範囲は総研大宇宙科学専攻の試験範囲外なので買う必要はありません。東大、京大、東工大を併願する人は必要かもしれません。
筆記試験に向けた勉強方法
さて、本の紹介が多すぎてうざく感じたでしょうか?すいません。
ここからは私が筆記試験ために行った勉強方法について書きます。必ずしもこれを行ったら受かるということを保証するものではありませんが、まあこれくらいやれば受かってもおかしくないよねと言うくらいにはしっかりやったので参考にしてもらえるとありがたいです。
基本方針
私の受験勉強の基本方針は
「質より量でゴリ押せ!!」
です。もちろん質も大切なのですが、大学院入試はひねくれた問題は少ないので過去問や対策本をしっかり時間をかけて勉強すれば合格できる可能性は高いと思います。なので、私はなりふり構わす力技で解きまくりました。
勉強法
まず、3月の中旬から半年間、総研大と東大の過去問をざっと見て、傾向や出題範囲を確認しました。その後4,5月の2ヶ月間で上記で紹介したマセマ シリーズの参考書、演習書を20周はしました。(正確な回数は覚えていません)
この時注意点していた点は「初めからきちんと理解しようとしないこと、初見で解こうとしないこと」です。最速で合格最低点をクリアするためにとにかくまずはざっと1周することが大事だと思っていました。そうすると意外と2周目には理解できたりしますしね!
演習書の問題も最初から問題を解こうと考えるのではなく、答えが分からなそうであれば一瞬で解答を見てました。大事なことは本番当日に解けることであって、初戦で解けることではないので、効率よく知識を入れていくためにはこれが最適だと思います。
マセマ シリーズである程度基礎学力がついたら、「演習大学院入試問題」でより実践的な問題を解いていきます。これには約2ヶ月半費やしました。勉強法としては、問題をコピーしてノートに貼って解答を写すと言うことをまずやりました。解答写して学習効果なんてあるのと必ず聞かれますが、これは問題の開放パターンの暗記につながります。大学院の試験は一見すると難しそうに見えますが、解答を見ると同じ公式を使ったり、途中まではほとんど同じ解答の持っていき方をしていたりします。なので、解答を写すことで頻出の解法パターンを時間をかけずに覚えていくことが、合格の鍵だと思ってこのような勉強をしていました。
解答写しが終わったら、作成したノートで問題練習を反復しました。こちらもマセマ と同じく、20回は反復しました。この時も、鉛筆で実際に解答を書いてみるのは5回に一回くらいで、その他は解答が瞬時に頭に浮かび上がるかのチェックをしていました。
勉強が頑張れたモチベーション
今までズケズケといろいろ書いてきましたが、受験期はかなりキツかったです。仕事をしながらと言うのもありましたが、何より受験のための勉強というのが面白くなかったですね。基本的に勉強は好きなのですが、受験が目標の点取り対策ってのはストレスがかかりますね。
そんな過酷な受験期での勉強を頑張れたのは、やはりJAXA宇宙科学研究所で宇宙の最前線で研究がしたいと言う思いでした。これを乗り越えたら自分の夢のスタートラインに立てる(地獄へのスタートラインかもですが…笑)というワクワク感と研究意欲が一番のモチベーションでした。
あとは、仕事しながらこっそり勉強してしれっと合格するのってかっこよくね?みたいな下心やこれ合格したらブログやnoteのネタになるなという浮ついた考えも非常にモチベーションになりました。(こう言ったモチベーション重要だよね!!)
今回は自分の大学院入試記録も兼ねて、読書の役に立てたらなと思って記事を書きました。かなり駄文で読みづらかったり、参考にならない部分もあるかと思いますが、少しでも役に立つと嬉しいです。
はじめまして。現在、2022年4月入学で宇宙科学専攻を受験しようと考えている大学新4年生です。新しい情報が沢山詰まった体験記非常に参考になりました。合格なさったhitokage様にお聞きしたいことがあるので、お時間ありましたらご回答頂きたいと思います。
宇宙科学専攻では5年間の学費相当額を含む奨学金があるかと思います。募集要項を読むと、給付条件に入試成績が優れている学生との記載があります。私はTOEICのボーダー770点はクリアしているのですが、筆記試験がどの程度出来ていると優れていると判断されているのか非常に気になっております。もし、hitokage様や同期の方に採用されている方がおりましたら教えて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。
こんにちは。
5年間の学費相当額に関しては、以下の出来が合否に関わります。(1が優先順位が一番高いです。)
1. 筆記試験
2. 面接
3. TOEIC(足切りにしかならない)
筆記試験の出来がどの程度かはその年の試験の難易度や受験者レベルなどによるのでよくわからないというのが正直なところです。
ただ、私の感覚では、数学物理ともに7割とっておけば十分だとは感じています。(あくまでも感覚なので、ご了承ください。)