【地学】蛇紋岩化作用のメカニズムを化学反応式から読み解く

近年、蛇紋岩化作用、蛇紋岩、蛇紋石は岩石学だけにとどまらず、惑星科学、生命科学、海洋科学などの幅広い研究分野で注目され、論文数も大幅に増えてきています。

なぜ蛇紋岩に関する研究が注目されているのかを蛇紋岩化作用のメカニズムを化学反応式から読み解きながら説明します。

蛇紋岩化作用の化学反応式

蛇紋岩化作用の化学反応式は以下のようになります。

3(Mg0.9Fe0.1)2SiO4+4.1H2O=
  かんらん岩    水
     1.5Mg3Si2O5(OH)4+0.9Mg(OH)2+0.2Fe3O4+0.2H2(aq)
       蛇紋石    ブルーサイト  磁鉄鉱   水素 

蛇紋岩化作用を引き起こす元となるのは、かんらん石((Mg0.9Fe0.1)2SiO4)と水です。そして、反応の結果として、蛇紋岩(Mg3Si2O5(OH)4), ブルーサイト(Mg(OH)2), 磁鉄鉱(Fe3O4), 水素ができると言う反応です。

蛇紋岩化作用に必要なかんらん石は上部マントルの主成分であるかんらん岩中に多量に含まれています。
沈み込みプレート境界などで海水や海水を含んだ含水鉱物がプレートともにマントルに引き込まれると、地下深部でかんらん石と水が反応し蛇紋岩化作用が起きます。

かんらん岩の種類については以下をご覧ください。
【地学】かんらん岩の組成による分類

蛇紋岩の特徴

蛇紋岩化作用によって生じた蛇紋岩は全体的に深緑色の外見をしており、時折色の淡い部分や白い部分などが混ざっています。
また、ハンマーで叩くと割れやすいと言う性質があります。また、蛇紋岩化する前のかんらん石は硬い物質ですが、蛇紋岩自体は軟らかい特徴があります。

画像を見たい方はこちらをご覧ください。
http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/geology/rock/igneousrock/serpentinite.html

蛇紋岩化作用の科学的重要性

蛇紋岩作用が特に起こりやすい場所として、沈み込みプレート境界が挙げられます。蛇紋岩化作用のもととなる、かんらん岩は上部マントルに存在しており、沈み込みプレート境界でプレートともに沈み込んだ水や含水鉱物と上部マントルのかんらん岩が反応し蛇紋岩化作用を引き起こします。
この時副産物として生成される水素が熱水噴出孔周辺の生命にとって重要な元素になっていることは報告されています。

また、マントルかんらん岩と水との反応は火山活動、地震活動、過去の火星の環境とも深い関係があると考えられており、岩石学、地震学、生命科学、惑星科学など幅広い研究分野においてホットトピックとなっています。

参考資料

蛇紋岩化作用における水素の発生に対する岩石学的制約条件」, 野坂俊夫 (2012),

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です