【知ってそうで知らない科学の話】夕焼けが起きるメカニズムとは?

夕方、晴れた空にはオレンジに染まったきれいな夕焼けが起きます。
日々の生活では特に意識しないからか、きれいな夕焼けがあってもそこまで感動しないかもしれませんが、旅行の時ふと見たり、ツイッターで流れてくる夕焼けの画像を見ると、そのきれいさを再認識します。

一方で、「夕焼けがなぜ赤いのか」、「なぜ夕方にしか見えないのか」などのような科学的視点で夕焼けを理解するとまた違った見え方ができるかもしれません。

この記事では、夕焼けが起きるメカニズムを詳しく解説することにより、皆さんに気象学の面白さ並びに自然科学の面白さを少しでも感じてもらいたいなと思います。

夕焼けが起きるメカニズム

夕焼けのメカニズムを考えるうえで重要な前提知識として、次の3つの要素が挙げられます。

 光が地上に到達するまでの距離 

 大気分子による光の散乱 

 光に対する人の眼の感度 

①光が地上に到達するまでの距離

私たち人間は太陽光を利用して、日々生活しています。
そして、色の見え方についてもこの太陽光に依存しています。
例えば、曇りの日は太陽光が雲で遮られることによって、晴れの日と比べ風景が暗く見えますよね。

このように物理的に太陽光が遮られている場合は、色の変化も直感的にわかりやすいですが、その他にも私たちの目に見えない物理現象によって色の見え方が変わっています。

その大きな要因の1つが、「光が地上に到達するまで距離」です。

まずは、下の図を見てください。

 太陽の光は水平線付近に太陽がある時は(日の出、日没)、地球の大気をより長い距離通過して人間の目に届き、日中は真上から照り付けるため大気を通過する距離は短くなります。 


地球大気には様々な分子(窒素分子、酸素分子など)が存在しているため、太陽光は人間の目に到達する前にそれらの物質に衝突し、散乱をします。
散乱については次章を参照ください。


夕焼けの場合、太陽が沈むときは太陽光がより長く地球大気を通過するため、より多くの大気分子にぶつかります。このことにより、太陽光は散乱されやすい状態となり、太陽光に含まれる様々な色の光のうち、赤色以外の光は散乱しきってしまい人間の目には届かなくなります。
これにより相対的に赤色の光が支配的になるため、夕焼けは赤く見えるのです。

②大気による光の散乱

①では夕焼けが赤くなる理由を簡単に説明しましたが、「分子による散乱とは?」、「なぜ太陽光が散乱すると赤色の光だけが見えるようになるの?」という疑問が残ります。

この章では、地球大気によって太陽光が散乱を起こすメカニズムについて説明することで、上記の疑問を解消していきます。


と、その前に1つ問題です。

問題
太陽の色は何色でしょうか?(注: なるべく直接太陽は見ないようにしましょう。)

どうですか?
イメージとしては赤と答えたくなりますが、実際の太陽光は白色です。

太陽光には、様々な波長の光が混ざりおり、それぞれ波長に特有の色を持っています。
光の性質としてこのような様々な色の光が混ざり合うと白色に見えるのです。


波長とは光(電磁波)が空間中を伝わる周期的な長さのことを言います。
下の図をご覧ください。
光(電磁波)は図のように、振動しながら私たちの目に到達します。(実際には目には見えませんが…)

この振動の周期的な長さ、つまり振動のタイミングが同じパターンになるまでの間の距離のことを波長と言います。

そして、この波長の長さ毎に私たちの目は異なる色の見え方をするように発達しています。
具体的な波長と色の関係は次の図をご覧ください。

つまり、私たちの目が色を認識できる可視光線の中では、波長が短いほど紫や青色に見え、波長が長いほど赤やオレンジ色に見えるということになります。

さて、大変前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
太陽光は地球大気の分子によって散乱すると説明しました。

散乱とは、波である光が、小さな粒や分子に衝突する時に、同じ波長の光を周囲に放出する現象のことを言います。
その概略図を以下に示します。

この図を見ると理解いただけると思いますが、波長の短い青系の光は粒子に衝突しやすいため、散乱されやすく周囲に青系の光を放出します。

一方、波長の長い赤系の光は粒子を回りこんで進むことによって、衝突しにくく散乱もしにくくなります。

①、②を合わせて考えると、夕方は太陽光が地表の人間に届くまでに地球大気をより長く通過することによって、波長の短い紫や青の光が大気中で完全に散乱されてしまい人間の目に届かなくなる。
一方、波長の長い赤やオレンジの光は比較的散乱の影響を受けずに目に届く。
これが、夕焼けが赤く見える原理となります。

国立科学博物館HPより引用)

③光に対する人の眼の感度

②にでも解説した通り、太陽光には様々な種類の波長をもった電磁波が入り混じった状態で地球に到達します。

しかし、これらの電磁波のすべてを人間が目で感知できるわけではなく、一部の光を利用して私たち人間は生活しています。
この光を「可視光」と呼び、380~780μmの間の波長の光を指します。

特に私たちの目はこの可視光領域の内、490-550μm付近の緑の波長帯に最も感度があります。
一方、可視光領域の中でも、紫外線領域に近い紫色や赤外線領域に近い赤色にはほとんど感度がありません。

そのため、夕焼けは赤外領域に限りなく近い真っ赤というよりは、緑の波長域に比較的近いオレンジ色になるというわけです。

これらの3要素を理解できると、「なぜ空が青く見えるのか?」「なぜ雲が白く見えるのか?」という疑問についても理解することができます。

この記事については別途記載しようと思います。(作成中)

まとめ

夕焼けが起きるメカニズムをまとめると次のようになります。

まとめ
夕焼けが赤く見えるのは、

「太陽光が地球大気中の分子によって、波長の短い紫や青系統の色が散乱しきってしまい、人間の目には赤系統の色のみが到達するから」

となります。

どうでしたか?
夕焼けという一つの現象だけをとっても、意外と奥が深いと感じませんか?

もちろん、ただ夕焼けをみて楽しむだけでも十分ですが、それがどのように起きている現象なのかを理解すると、より自然の良さを感じられるかもしれません。

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