【知ってそうで知らない科学の話】なぜ夕立は起きるのか?

夏の良く晴れた日の夕方、さっきまでの晴れが嘘だったかのように雨が降ることがあります。

 夕立 」です。

夕立はほとんどの人が経験あると思いますが、なぜ夕立が起きるかわかりますか?
さっきまであんなに晴れていたのにいきなり大雨になるのは不思議だと思いませんか?


今回の記事では、「 なぜ夕立は起きるのか? 」という疑問を科学的に解説します。

積乱雲の発生メカニズム

「なぜ夕立は起きるのか?」という疑問を解決するためには、積乱雲の出来方を理解すること重要です。

積乱雲とは、入道雲(にゅうどうぐも)などと表現されることもある夏によくみられる代表的な雲です。

特徴としては、下層から上層へ上昇気流が生じることにより、縦に伸びた形状をしており、大規模なものでは雲頂(雲の一番上の部分)が成層圏にまで達するものもあります。

積乱雲の出来方については、気象庁のホームページでわかりやすい解説動画がありましたのでこちらを見てもらいましょう。

(引用元:気象庁HP)


動画の内容を簡単にまとめておくと、次のようになります。

積乱雲のでき方

地表付近には温かく軽い空気上空には冷たく重い空気がある
(この状態を気象用語では、 大気不安定な状態 と言います)

②地表付近の温かく軽い空気が上昇する。
上空は地表に比べて温度が低いため、地表付近から上昇してきた温かく軽い空気は冷やされ、空気中の水蒸気が凝結し水の粒をつくる。

③上昇流の影響で雲はより上へ上へと発達する。
この時、雲の内部では水の粒同士が衝突をして次第に粒の大きさが大きくなり、質量も重くなる。

④大きくなった水の粒に対する重力の影響が上昇流の効果より大きくなると次第に落下をはじめ、大雨となる。

夕立の発生メカニズム

前章までは雲のでき方、降水を降らせるメカニズムを解説しました。

この章では、なぜ夕立が起きるかに着目してみます。

基本的に夕立の原理は、前章で解説した積乱雲のでき方と一緒です。

ただ、気象庁の解説動画は非常にわかりやすいのですが、1つだけ初学者にはわからないだろうなということがあります。

Hana
「大気が不安定な状態って何?」
「なんで地表付近には温かく軽い空気、上空には冷たく重い空気ができる?」


そしてこの疑問が、「なぜ夕立は起きるか?」に大きく影響します。

この疑問に答えるために、次の図をご覧下さい。

まず、夏の晴天時には午前中から正午にかけて、太陽光が直接地球表面に入射し地表面を熱します。

すると、太陽光により熱せられた地表面近くの空気は徐々に温度が上昇します。
これに伴い、空気中に蓄えられる水蒸気の量が増加します。

空気中に加えられる水蒸気の量と温度の関係に関して詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

このため、地表付近の大気下層は「温かく、湿潤な軽い空気」が存在することになります。

(夏の晴天時の午前から正午の様子)


次に、午前中から正午にかけて温められた地表付近の空気の上には、比較的冷たく重い空気が存在します。

これは、山に登る時を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。
山を登っていくと、高度が上がるにつれ寒くなっていきますよね?

これと同じで、私たちが生活している対流圏においては、 空気も高度が高くなるほど気温が低くなっています 

(夏の晴天時の午後から夕方の様子)


このように、「下層に温かい軽い空気」「上層に冷たく重い空気」が位置する状態を気象学用語で「大気不安定」と言います。

ここで少し脱線しますが、お風呂を温めた時を想像してみてください。
5分程度温めた後、足を入れてみると上の方は温かいのに、下の方はまだ冷たいですよね。

これは、 温かい水は密度が小さく上昇しやすく  冷たい水は密度が大きく下降しやすい ためです。(厳密には温度帯によっては上記の性質が成り立たない場合があります。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。)

これと同じ原理で、 空気も温かい軽い空気は上昇し  冷たく重い空気は下降 します。
これにより、上昇気流が生まれます。

この上昇気流により、前章で説明した積乱雲の発生メカニズムにより積乱雲ができ、地上に大きな雨を降らせることになります。

つまり、午前から正午に雲がなく晴天であればあるほど、地表面が熱せられやすく、上昇流も強まり、発達した積乱雲が作られる。
その結果、大きな降水をもたらすことになります。

これが、「午前あんなに晴れていたのに突然土砂降りになるのは不思議だ」という感覚を与えているんですね。

夕立はなぜ短時間なのか

夕立の場合、瞬間的な雨量は多いですが、たいていの場合30分~1時間もたてばやんでしまいます。


これはなぜでしょうか。


これは単純で、積乱雲が維持できる時間(ライフタイム)が30分~1時間程度だからです。

積乱雲のメカニズムから考えると、積乱雲が発達する原因は 上昇流による下層からの水蒸気の供給 にあります。そのため、水蒸気が長時間供給されなければ積乱雲はすぐに消えてしまいます。

夕立をもたらす積乱雲は、午前中に熱せられた下層の空気が上昇することで発生しますが、これらはいったん上昇してしまうと下層からはなくなりもはや上昇流を引き起こす「大気不安定」の状態ではなくなってしまいます。
要するに一発屋なのです。

したがって、夕立は短時間しか続かないのです。

まとめ

まとめ
夕立のメカニズムをまとめると


午前から正午にかけて、強い日射によって地表面が熱せられ、大気下層に温かく軽い空気ができる。

下層の温かく軽い空気と上層の冷たく重い空気が、大気不安定を解消するために上昇流を引き起こす。

上昇流により、積乱雲が発達して大雨となる。

となります。


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